院長コラム
Column

沈黙の言葉

2018年02月22日

大杉 漣さんが、急性心不全にて急逝されました。詳細は伺いしれませんが、いつも通りの仕事をされた後、調子が悪いと一報後の急変とのことですので、急性心筋梗塞だったのかもしれません。

漣さんの演技は多くの言葉を必要とせず、静けさの中に人生のわびさびを感じる哀愁ただよう演技が個人的には印象的です。

下済み時代の長い遅咲きの俳優さんでした。北野監督の映画で取り上げられたことから活躍されたのは有名ですが、得意なことは「沈黙」と答えられたそうです。言葉の少ない沈黙の演技で、見事に生死をかけたやくざ映画を演じられました。

ネコ好きでも有名です。以前に「ネコナデ」という少しマニアの映画がありました。非情な人事部長が捨てられた子ネコを拾い帰り、世話をするようになってから人情的にかわっていくというあらすじです。哀愁ただよう疲れた男の背中からネコへ愛情が伝わってきました。

当時大阪市内の大きな映画館では上映されていなかったので、わざわざ八尾市の映画館にまで見に行ったことを思い出します。

映画の後、そのネコを自ら飼うことになり、ブログなどでよくそのネコを紹介されていたようです。ネコ好きの私としても共感するとともにこころのやさしさを感じました。

直前まで撮影され、まさに「演じることは生きること」を実践された人生でした。

心の中に言葉少なげに静かな哀愁を残しながら、急ぐように他界されました。ご冥福お祈り申し上げます。

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