院長コラム

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隠された原因

2018年10月13日

京都大学の本庶佑先生がノーベル医学生理学賞を受賞されました。癌に対するPD-1という免疫チェックポイントを抗体で阻害する抗体治療の成果です。

いままで手の付けることができなかった末期の癌に対しても有効性があり、希望がでてきました。藁にもすがる思いで、苦しまれている患者さんへの福音です。

しかし未だその有効性は一部の患者さんに限られるということです。癌のタイプもさまざまでその闘いにおいてはまだまだ解き明かされなければならない課題が残されているようです。さらなる別の原因も隠れ潜んでいるような気もします。

高額な薬剤費は気になりますが、現在もどんどん新しい抗体医薬が開発応用され、癌の治療は進歩していきそうで楽しみです。

免疫機構はとても複雑で少し理解するのは難しいので、私なりの解釈を書いておきます。

一般的には免疫とは外からの細菌やウイルスを退治するために体を守るという役目を果たしているのが有名ですが、癌細胞を含め多くの病気が発生、進行しないように監視しているのも免疫です。つまり体を守る警察官のようなイメージです。

ノーベル賞の研究では、癌細胞はその監視から逃れるおとりのような物質を出し、警察官である免疫から逃れて自分の身を守るためにいろいろ工夫して生きながらえているということです。

そのおとりを逮捕することにより本来の監視機構を回復させるというのが今回の抗体治療でしょうか。

体の中で癌ができては逮捕されるということを繰り返しているのであれば、癌細胞の中でもたまたま自らが免疫の監視を逃れる要領のいい機能を兼ね備えたものが増殖して発症するということなのでしょう。

そして癌の特徴である単純に増殖を繰り返し広がりつづけるという目に見える表の現象の裏には必ずその原因が隠れ潜んでいるということなのだと思います。

そういう意味では直接的に癌を手術で取り除いたり、増殖を止める薬を使うのみならず、その隠れた原因をしっかり考察した上で治療にあたる必要があるのでしょう。

そして複雑に絡み合う病態ではいくつかの隠れた原因を解決する必要があるということにもつながるような気もします。

私の専門は循環器なので、癌を治療するということはないのですが、その考え方はとても参考になります。

例えば動脈硬化も癌と同様にほったらかしにしておくとどんどん進展していきます。動脈硬化も組織学的には炎症反応を示しますので、免疫反応とも密接でその機序は複雑です。

動脈硬化の原因には、高血圧、高脂血症、糖尿病などが関係するとされていますが、免疫、炎症、成長因子、ホルモン、自律神経などの複数の因子の異常も裏に隠されています。

臨床試験の結果でも多くの異常を解決できる複数の作用を合わせもった薬が病状や予後の改善にはよさそうです。

動脈硬化の治療においても、隠された異常を同時に解決するためにいくつかの薬を併用する意義は高いのだと思います。

そして病気を日常のトラブルに例えれば、この考えは問題の解決にも重なるのかもしれません。目の前に現れるトラブルの裏には、必ず隠れた原因がありそうです。原因があるから問題になるということにもなるのでしょう。

トラブルが大きくならないように早期に対応するというのがもちろん基本ですが、目の前のトラブルに反応するだけではなく、その裏に隠された原因をしっかり考察し、ひとつづつ取り除いていくということが必要のように感じます。


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