院長コラム
Column

原因不明の脳梗塞

2018年10月22日

脳梗塞をおこした場合、原因をいろいろ調べてもわからないのは全体の1/4程度もあります。

発症の機序としては脳の動脈硬化が進展や不整脈が原因で脳の血管がつまってしまうことが考えられますが、いろいろ原因を調べてもはっきりしないということはよくあるのです。

一度脳梗塞をおこすと再度おこす頻度が極端に高くなるので、原因がよくわからない方でも注意が必要です。

おそらくは原因不明の脳梗塞の裏には不整脈がかくれ潜んでいそうです。そして原因となる不整脈のほとんどは心房細動です。

しかしずっと心房細動がでている場合はそれが脳梗塞の原因と判断できるのですが、たまにしかでない場合はいつまでたってもはっきりしないことがあります。

そもそも不整脈の症状を全く自覚されていない人も多いです。そして症状を自覚されている方でも調べてみると自覚しているのは全体の半分未満です。

とても不安があり敏感になっている時だけ不整脈を自覚するのだと思います。だんだんになれてくるというのもあります。

それでは、原因不明の脳梗塞の患者さんにずっと心電図モニターするとどうなるのでしょうか?体の中に植え込むデバイスを使用することにより評価することができます。

3年間記録し続けると脳梗塞の原因となりうる心房細動は1/3位の患者さんに記録されます。その時の症状はありません。

もちろん心房細動が記録される患者さんにおいて脳梗塞は高くなります。

また、心房細動頻度は年齢とともに増加を示し、高血圧とも密接です。そして65歳以上で高血圧を合併している場合、心房細動が発症すると脳梗塞の出現が高くなるため血液をさらさらにする薬を飲む必要があります。

不整脈を指摘されていない、症状のない65歳以上の高血圧の患者さんをずっと3年間心電図モニターすると約20%程度に心房細動が記録されます。発作時間が短ければ大丈夫そうですが、24時間以上持続するような長時間の発作が記録される場合、追跡中に脳梗塞が15%に発生するので注意が必要です。

特に心臓の大きく血圧がより高い人で心房細動が出現しやすくなるため注意が必要です。

先週末にアジア不整脈学会(APHRS:Asian Pacific Heart Rhythm Society)が台湾で開催され、クリニックを一日(10月20日)休ませていただきました。学会では、「原因不明の脳梗塞と不整脈の長期モニターリング」とことで上記のような内容を発表してきました。

症状がなくとも不整脈がかくれ潜んでいることは多いのだと思います。脳梗塞のリスクが高い場合には、きっちりと心臓の検査うけ、きっちり予防をしておくこくことは大切です。

 

 

 

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