院長コラム
Column

塞栓性脳梗塞とは?

2017年05月31日

落語家の桂ざこばさんが塞栓性脳梗塞で入院されたとのことです。マスコミによるとはやいうちから会話もされているということですので治療がうまく奏功しているのだと思います。大阪人の代表としてこれからも活躍してくれますよう早期の復帰をお祈りします。

脳梗塞は脳の動脈が詰まってしまう病気ですが、塞栓性というのは遠くの場所から突然に飛んできて脳の血管に詰まるタイプの脳梗塞です。一方、脳の血管の動脈硬化が進展し、細くなった場所でつまってしまうというタイプは血栓性脳梗塞といいます。

塞栓の多くは心臓からとんでいきますので、ほとんどが心原性の塞栓症です。その中でも不整脈の心房細動が原因の多くを占めます。野球の長嶋さん、サッカー監督のオシムさん、小渕元首相も心房細動による塞栓性脳梗塞をおこされました。

塞栓性脳梗塞は重症化する場合が多く、この病気をおこした6割の方が死亡もしくは社会的生活がおくれないような重篤な麻痺症状を示すといわれています。これはガンを患う以上の予後も悪さです。

塞栓性脳梗塞はなぜ重症化するのでしょうか?塞栓は大きな血管につまりやすいというのもありますが、突然に発症してしまうということもその理由として挙げられます。人間の臓器は、前準備があるとそれなりに体の中でう調節して少しは防御することができるのですが、どこかから飛んできて突然に詰まってしまうと詰まった先の組織がすべて死んでしまうからです。「備えあれば憂いなし」の逆のパターンです。

脳梗塞の既往、不整脈、心不全、高血圧、加齢、糖尿病などの塞栓リスクのある方では、水分をこまめにとったり、薬をのんで血液をさらさらにして予防を心がけておくことが大切です。万一塞栓性脳梗塞を発症してしまった時はできるだけ早期の初期治療が極めて大切です。発症3時間以内に詰まった血管を再開通させることができれば、ほとんど麻痺なく回復する場合もあります。

しゃべれない、手が動かないなどの症状がでて少しでもおかしいと感じたらほったらかしにせず、早々に病院にいきましょう。周りの方の気づきと受診のすすめもきわめて大切です。

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