院長コラム
Column
三国志
2021年03月05日
最近、動画配信サービスで中国の歴史ドラマを目にして少々はまっています。特に後漢の乱世の時代を描く魏・呉・蜀の三国志は、昔より何度も映画化されて、多くの人の心を捉える壮大な物語です。
長編のドラマをいくつか視聴した後にその勢いで関連する簡単な歴史本も通読しました。
三国志はテレビゲームでも人気のシリーズですし、最近でも映画化され上映されました。その歴史背景については詳しい人も多いのではないでしょうか。
日本でも戦国時代を取り扱う歴史ドラマはNHKの大河ドラマにて何度もリメイクされていますね。乱世をどのように生き、戦略をたてていくかということはいつの時代においても魅力のあるテーマなのだと思います。
孔子の教えによる儒教は江戸時代での日本の教えとなり、日本の武士道や精神文化にも影響を及ぼしてきました。
若い世代の人は公平・平等など欧米の文化の影響を強くうけているので、目上の人や師匠を大切にするという年配の人との世代間ギャップはありそうです。
三国志を読み解き感じることは、戦略の大切さです。乱世では策士といわれる戦略家が大活躍しました。乱世と平時では振舞い方は違ってくるのでしょう。
今思いつくことをいくつか書いておきます。
例えば、中国から日本にも伝わる「背水の陣」という諺があります。逃げ道がなくなってしまうと人はとんでもない力を発揮するのです。
裏を返せば、敵を追い詰めすぎるとその反動から味方が甚大な損害を被るということにもつながります。あまり追い詰めすぎないで敢えて逃げ道を用意しておくということも策士の教えです。
さらに相手に降伏を促すときにも必ず逃げ場を確保するために相手の家族を含めた命やその後の居場所をその場で保証し、大々的に触れ回ります。
また、敵が一つにまとまらないように敢えてライバルを相手の陣営内に送り込みます。
もちろん策にだけ溺れるのではなく大儀も必要です。
しかし策のない義や情を優先した戦略は、短期的には周りのものの心をつかむことはあっても最終的には滅びてしまうことが多そうです。
経済的なことも幸せや安心を維持するには大切なので、単に漠然とそれを願うだけではなく、具体的な戦略と行動も必要ということなのでしょう。
いざ現代に視点を変えてみても、ITや交易の発達したグローバルな国際競争の中、混沌とした乱世の時代であるのだともいえそうです。
周辺諸国が策をもってダイナミックに変革を繰り返しているのに対して、日本は様々の意見に振り回されて漂流しているようにも感じて少々心配です。
20年後には日本はどうなっているのでしょうか?敗戦国だから主体性をもって戦略を立てることができないのだとは思いたくはないですね。
そして病気を予防。治療し、健康を維持するためにも秩序だった戦略は大切なのでしょう。
信憑性の不確かな情報や感情に振り回されて漂流するのではなく、確かな情報をもとに粛々とその対策を実践するということでいいような気がします。
そしてそのことが心の安心・安定にもつながるのでしょう。