院長コラム
Column
ポストコロナ症候群
2021年07月12日
東京オリンピックを前にコロナ感染も増え、東京では緊急事態宣言、大阪でも蔓延防止措置の延長となりました。
変異株の影響もあり、世界的にもワクチン接種率の低い新興国を中心に新規感染がひろがりつつあります。
大阪でも度重なる感染の波により、すでに10万人を超える人がコロナ感染の確定診断をうけました。隠れた無症状や軽症の患者さんを含めると、その数はもっと多くなるのでしょう。
大阪みなみでは、発熱患者の3割以上がPCR検査にてコロナ感染と診断されていた時期もありました。若年の方の発症が多いという特徴です。
少し前まではコロナ感染していたと言われる人はあまりなかったように思うのですが、「数週間前までコロナ感染をして自宅待機や入院をしていました」といわれて来院される方も最近増えてきたような気もします。
オープンにしづらかったという社会の雰囲気が少し変化してきたということのもあるのかもしれませんね。
ポストコロナ症候群という病名があります。コロナ感染後に数か月経過しても様々な後遺症が持続・発症するのです。
多かれ少なかれ8割方の人が何らかの症状を自覚するとされています。そして高齢者のみならず若年例においても同様に発症するという特徴があります。
一般的に息切れや味覚障害などの症状がよく知られていますが、動悸や胸痛などの循環器症状を自覚されるかたもおられます。
実際、不整脈や心筋炎が感染の後遺症として発症することも報告されています。
当クリニックにては、若年の方が心臓に何かあるのではと心配されて受診される場合が多そうです。
コロナ感染による不安も症状には関与していそうです。3割程度の人が精神障害と診断されるという報告もあります。
仕事にうまく復帰できないという方もそれなりおられるのかもしれません。
治療はそれぞれの病状に応じた対症療法となりますが、ワクチン接種を追加することにより後遺症が改善するという報告もでてきています。
もちろんコロナ感染症に罹らないことが最も大切です。
しかし若年の方ではワクチンを接種しないと判断する人が多いそうです。大学生の孫の友達はほとんど接種しないといっていると話しながら当院でワクチン接種を受けられた患者さんもいました。
若年の方ではワクチン接種後に発熱、痛み、倦怠感などの副反応が強くおこりますし、もし感染しても重篤化しにくいからということもあるからなのでしょう。
ワクチン接種のすすんでいる欧米諸国でも若年例を中心に新たな感染の波がひろがりつつあります。若年の方のワクチン接種率がひくいからです。
もちろんワクチン接種は個人の選択の自由ですが、個人的には若い人であってもワクチンを接種されたほうがいいように思います。
コロナ感染が重篤化しないから大丈夫というだけではなく、ポストコロナ症候群にならないようにという視点も必要なのだと感じています。