院長コラム
Column
外からの目
2022年09月17日
自らのことをきっちりと評価することは難しいことです。わかっているつもりでも実はわかっていないことも多いかもしれません。
そして、わかっているつもりでもいろいろと言い訳して間違ったことをしてしまうこともありそうです。
良い時も悪い時も、それほど人の心はうつろいやすくデリケートということなのでしょう。
私もえらそうなことは言えません。自らを振り返ってみても自分のことは意外にわかっていないのだとことあるごとによく感じます。
自分以外の周りの人のことのほうが少しは冷静に判断できるのかもしれません。確かに人へのアドバイスの方が自分のことよりは冷静なような気もします。
客観的にいるには、内からの声に加えて、外からの目も大切ということなのでしょう。当たり前かもしれませんが、それを受け入れることが難しいともいえそうです。
私自身迷いがある場合、外にいるもう一人の仮想の自分から自分への問いかけしながらぼんやりと空想をしている時がありますので、より客観的でいるためにそういう手法もあるのかもしれませんね。
健康や病気についてもいろいろとあてはまりそうです。
病気の原因も様々ですが、循環器の病気の多くは体の内なるバランスがくずれてしまったということもいえます。そして、自らの内なる判断だけでは体の状態は見えてこないことも多そうです。
外からの目をもって患者さんの病状を客観的に評価し、対処することも病気の管理にも大切であり、それが医師の仕事ともいえるのでしょう。
もちろん外からの意見に振り回されすぎるのは大きなお世話ですが、ある程度は聞く耳をもつということも必要なのだと思います。
例えば高血圧などの生活習慣病の場合、何かと理由をつけていいわけしたくなる気持ちもでてきますが、客観的な検査で異常がでてくるようであれば外からの介入も必要と感じでしょうか。
また、心と体がばらばらにうごいていても体の調和はとれませんので、ある程度の統一性や方向性も必要なのでしょう。
また、人の体は多くの細胞の集合体ですが、範囲を広げると国も人の集合体といえそうです。
日本の国外では、経済、エネルギー、戦争などなど大変な問題が山積みですが、マスコミ報道からみると多くの人が興味を持っているのは身の周りの国内問題のようですので、その視点はかなり内向なのかもしれません。
そして価値観の多様により物事が前に進まない様相は、統一性を少し失った混沌状態ともいえそうです。
個人的には、皇室や国の代表者をスキャンダルがらみで引きずり落とすのではなく、もう少し外からの目をもって大切にするほうが国益になるような気もしてきます。
内外のバランスをうまくとり、その方向性を共有することは長期的に健全な状態でいるためには大切となのだと感じてしまいます。