院長コラム
Column

院内DX

2022年10月14日

俳優の竹野内豊さんがアナログのおやじ役で、困ったあげくに「どうする、GOする」のGOタクシーのCMは最近のお気に入りです。そのポンコツ具合になぜか微笑んでしまいます。

私を含め多くのおやじがそのとおりと共感しそうです。

今の時代、おやじもアナログからデジタルへの変換が必要ということなのでしょう。

GOタクシーの宣伝フィルムをつけて街中を走っているタクシーは最近よく見かけます。そしてGOタクシーでの予約やQRコードによる決済は確かに便利です。

乗ったその場のQRコードを自分の携帯電話で読み取ればそれでおわり。その後は自動的に決済がすすみ領収書の処理も心配無用です。一度使うと便利で癖になりますね。

会計なしのスーパーもでてくるようですし、この数年で情報のデジタル化(DX)はさまざまな分野ですすむ気配です。DXの進展度合いは、国の競争力でも重要な指標とされています。

医療においてもDXはこれからのキーワードで、骨太の国策の一つともされています。

当院でも効率よく、そしてできればお待たせしないを目指していますので可能なかぎり積極的にDX対応したいと考えています。ポンコツおやじにもなぜか使命感も最近でてきました。

移転を機会にも当クリニックでのDXについては少し工夫しましたので、その現状を紹介します。

まず予約ですが、予約システムも併用しながら原則予約制としました。もちろん急変、急用、予約忘れなどがありますので直接来院されても診察はしますが。

特に初診の方では、あらかじめSMSにお送りした問診票に入力いただいているので来院後すぐに診察できるという利点もあります。

LINEアプリが個人情報をあらためて入力する必要なく、クリニックからの情報伝達においても便利そうです。

増患効果については未だによくわからないのですが、患者さんが決まった時間に集まりすぎない、お待たせしないということにはつながっているのは間違いなさそうです。

診察では、レントゲン、超音波所見、長時間心電図などの画像デジタル情報はどんどん大きくなってきます。画像データをクラウド管理することにしましたので、容量の心配は不要となりました。

Wi-fiにて自動更新されたペースメーカーや睡眠時無呼吸症候群のデジタルデータも診察時にPCにて閲覧しますので、診察時のDX感が少しはでてきました。

採血結果は、専用アプリを使用して、携帯電話から検査結果がわかり次第、患者さんが閲覧できるようにしました。そのため大きな異常値がない場合はわざわざ来院していただく必要がなくなりました。

オンラインでの診療は時間の制約もあり今のところ行っていませんが、今後そろそろと始める予定にはしています。

また会計では、クレジットカードに加えてSUICAなどの交通系アプリでの決済も可能としました。

○○PAYなどのポイ活決済アプリの導入も考えたのですが、手数料の問題もあり、今のところ保留です。自動精算機も同様です。

タクシーGOのごとくQRのみでの決済システムにおいても今後の展開を期待します。

そして処方箋ですが 受付横に処方箋のFAXコーナーを設置しました。あらかじめかかりつけの薬局にFAXしていただくことにより待ち時間をすくなくできそうです。

携帯電話のカメラで撮影した処方箋を専用アプリ経由で送れば、オンライン問診後に自宅に郵送するというサービスも開始した近隣の薬局もありますので、ご希望があれば紹介します。

近いうちには電子処方箋が認められる気配ですので、少し先にはさらに運営がかわりそうです。

ずらずらと現状について書きました。しかしどんなにDX化をすすめてみても、残念ながら今のところ絵にかいた餅という側面もありそうです。

ご高齢の患者さんの多くは現金決済ですし、デジタルは苦手です。そのため逆に手間が増えてしまうという側面もあります。

そしてデータ管理のランニングコストも増えますし、目の前のコスト管理だけを考えると単なる自己満足とも言えそうです。それらが多くの医療機関がDX導入をためらっている理由なのでしょう。

2024年の秋に健康保険証がマイナンバーカードに原則統一されることが発表されました。そして来年を目安にマイナンバーカード保険証でのオンライン対応の義務化のお達しがクリニックにもありました。

しかしながら未だ多くの医師はその導入に反対で、1割の医院が対応不能で閉院予定とのアンケート結果もあるようです。

院内DXはまだまだ道半ば、達成にはもう少し時間が必要そうです。より多くの人々がその意義を理解し実践できる時が、本当の意味での「GOクリニック」の始まりなのでしょう。

 

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