院長コラム
Column

みってらさん

2023年11月25日

「なんでお寺の上にビルが建ってんの?」と久しぶりに来院された患者さんがびっくりしていわれました。

クリニック前には三津寺があり、待合からその屋根を見下ろすことができました。しばらくの工事の後、気が付けばあっという間にお寺の上にホテルがたち、明日からの開業のようです。

お寺の上にビルが建つなんてことは、土地の少ない都心ならではのことなのでしょう。たとえ仏教といえども自立していかないといけないという経済的な事情もありそうです。

おそらく全国的にも珍しいのではないかと思います。ホテルの滞在客の希望者は写経をし、屋上では天空露天温泉が楽しめるそうです。

近隣に馴染みのある方は昔ながらに三津寺のことを愛着込めて「みってらさん」とよびます。

奈良時代に建立されたとされる歴史あるお寺さんで、江戸時代では心斎橋から島之内にかけては三津寺村と呼ばれていたそうです。

三津寺前の通りは、お寺にちなんで三津寺筋と名付けられ、クリニックのあるビルは御堂筋との交差点にあります。

御堂筋は大阪のメイン通りとしてもちろん有名ですが、東西方向にのびる三津寺筋は一般的にあまり馴染がないのかもしれません。

少々紹介しますと、知る人ぞ知る大阪の飲食・飲み屋街で、ディープでカオス的な雰囲気のある通りです。

飲みにいくのが好きな人は三津寺筋といえばすぐわかるのでしょう。かなり大阪みなみっぽいともいえそうです。

西のクリニックの裏には三ツ寺会館、大阪センタービルなどの歴史ある飲食ビルがあります。

とくに三ツ寺会館はおよそ60軒が入居する飲み屋ビルであり、テレビ番組の「松本家の休日」では大阪一あやしい雑居ビルと紹介され、最近では観光客もおおいとのこと。

東のほうに進むとさらに飲食や飲み屋街がずらりと絶え間なくならび東心斎橋から島之内へとつながります。ホテル、アジア料理、ホストクラブなどが増えているのが最近の特徴のような気がします。

通り沿いから入り込んだ路地にも多くのおいしいおすすめの店があり、夜だけではなく昼のランチも豊富です。クリニック帰りに余裕があれば食事を楽しむこともできますよ。

お寺の案内は、現代的に整備されて電子版です。夜はネオンにまぎれながらも厳かにライトアップされて情緒深く感じます。

「昔によくお参りにきたみってらさんを待合室から眺めることができるなんて」と、診察終了後も嬉しそうにしばらく眺められていたご年配のご夫婦もおられました。

お寺の檀家の患者さんも新しいお寺のあり方を喜ばれているようです。

昔ながらの「みってらさん」も、大阪みなみらしく形を変えながらも次の時代に引き継がれていくということなのでしょう。

 

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