院長コラム
Column

かかりつけ

2025年07月30日

最近、「かかりつけ医をつくりなさい」とよくきかれると思います。

開業医の私がいうのもなんですが、「かかりつけ医」とはなんですか?そのイメージは患者さんそれぞれなのだと思います。

もっとも気をゆるせて信頼できる身近な先生というイメージをもっている方もおおいのかもしれません。

しかしそれ以外のイメージを持たれている方もいて、その解釈は人にもよるということでしょうか。国と医師会の解釈も少々違うようです。

当クリニックは、心臓病や生活習慣病を中心とした循環器中心の専門クリニックです。

もちろん腹痛や頭痛などの症状にも対応していますが、なかなか治らないときなどにはそれを専門とした病院やクリニックに早々に相談するという診療スタイルです。

循環器でのクリニックと病院の間という感じでしょうか?

診察時に「それはかかりつけ医に相談します」といわれる方も時折。あまり信頼されていないのかなという気もして、、、何かしら少し寂しい気持ちになる時もありますが、専門クリニックの宿命なのでしょう。

いすれにせよ薬の重複などの手違いだけはおきないように注意することは大切ですね。

欧米での「かかりつけ医」とは、いわゆるゲートキーパー的な存在で、どのような病気でもまずは初期治療を対応するいわゆる身近なファミリードクターです。

原則指定された「かかりつけ医」を受診し、それからの指示をあおぎます。

相性の問題や少々のあたりはずれもあるような気もしますが、そのしくみを日本でもこれから目指しているようです。

日本では今まで、好きな病院やクリニックに受診できるフリーアクセス制度ですが、それが欧米の制度にかえていくのかもしれません。

気が付くと今年の4月からかかりつけ医報告制度もはじまりました。まずは「みえる化」からで、「かかりつけ医」としてプライマリーチェックです。

また、「かかりつけ医」の条件として時間外の診療の対応、在宅当番医制や休日夜間急患センターへの参加、急変時の入退院支援、在宅医療対応の可否、介護サービス等との連携などに応じないと診療報酬を減額するといううわさです。

とても一人の医師で対応するのには限界がありそうですので、さらなるクリニックの集約化もすすんでいきそうです。

そして「かかりつけ」という優しい言葉の裏には、医療の効率化と医療費の抑制という厳しい展望含まれているのでしょう。

欧米ではprimary careを行うトレーニングを若い研修時代から取り入れているのに対し、日本では私を含め専門医を念頭とした医師の臨床教育が今までおこなわれてきた経緯があります。

同じことをすぐに当てはめて本当にうまくいくのかという不安を感じます。そして専門クリニックの居場所への不安も。。。

今は我が国の医療の悪いことばかりに注目されていますが、冷静に考えると海外よりもよいところもあったのだと思います。

実際、海外での医療の満足度が高いわけではなさそうです。

「かかりつけ医」制度が絵にかいた餅にならず、多くの人が満足し、持続可能なものになることを切実に願ってしまいます。

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