院長コラム
Column

LOH症候群

2017年07月27日

中年以上の男性を襲う集中力や意欲の減退、不眠などの原因として、加齢男性機能低下(Late-Onset Hypogonadism: LOH)が挙げられます。男性ホルモン(テストステロン)の低下が招く、男性の更年期障害の症状です。

一般には女性の更年期障害が有名ですが、男性にも更年期障害あるのです。多かれ少なかれ世間の多くのつかれた男性の方には当てはまる部分がありそうですね。

職場や身の回りにおきるストレスや過労、ビタミンなどの栄養不足なども誘因となり、自律神経のバランスが崩れ、気力低下や意欲減退、身体症状があらわれます。動悸や息切れなどの症状があり、心臓が悪いのではないかと心配になる方もおられます。個人差があり、症状が30代からの方も70代になって表れる方もあります。うつ病などと混同しやすく、診断や治療に至らず悩む人が多いと思われます。

私自身もそうなのですが、肩関節周囲炎(いわゆる50肩)で苦しんでおられる方も多いのだと思います。その原因は諸説あり、未だ不明な部分もあるようですが、加齢に伴うホルモンの急な低下との関連性も示唆されています。これもいわゆる更年期障害のあらわれかもしれません。いわれてみればの症状です。

テストステロンの低下は循環器の病気とも関係します。テストステロンは精巣以外にも脳内、筋肉、脂肪でも産生され、その濃度が低いと糖尿病とメタボリックシンドロームの頻度が高いとされています。そのため更年期症状には運動や栄養バランスなどの改善もまずは大切です。

LOHの方にはテストステロンの補充療法が症状の改善には有効で、ホルモンの低下に関係する多くの症状が改善することが報告されています。仕事が手につかないような重篤な症状の場合は一度試してみる価値は十分にあると思います。さらには老化に伴うと考えられる認知症や筋肉減少(サルコペニア)に対しても、テストステロンのホルモンの補充療法がその進行を予防できる可能性があります。

LOHはいろいろ検査しても一般的な血液検査や生理検査では異常な所見は認めません。そのため多くの内科では治療の対象とはなっていないのが現状ですが、元気に生き生きという理念の実践のため内科・循環器の立場からもLOHについてもアプローチしています。

 

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