院長コラム
Column

言霊

2018年07月02日

昔より、日本では言葉には魂が宿っているとされ、それを言霊といいます。

言葉どおりになるのですよと、できるだけ汚い言葉を使わないようにと小さな子供にも諭します。それだけ使う言葉は大切で、慎重に使うべきなのでしょう。

使った時は本意ではなかったとしてもその言葉は自らに返ってきます。そのためすこしずつ現実が言葉通りになっていくということもあるのかもしれません。

そういう意味では、使う言葉はできるだけ前向きの方がいいのでしょう。希望することをあえて形として言葉に表す有言実行というやり方もあります。

そして普段からまわりのものに対していつも感謝の言葉を口にすることも大切なのだと思います。

人は一人でいきていくことはできませんし、いつも何かを犠牲にしながら生命を維持しています。まわりのものに対していつも感謝の言葉を口にすることは自然の摂理にも適っています。

私自身、悲観的なことをいってそれを人のせいにしてしまうことは小さい時からよくありました。

そして不用意に口に出した言葉が独り歩きをしてしまい、もっと慎重に言葉を使うべきだったと後悔することもよくありました。

10年位前、妻がいいことが書いてあるよといって、小さな冊子を渡してくれました。

五日市剛さんという会社員の方の「つきを呼ぶ魔法の言葉」という講演内容で、使う言葉の大切さを語る実話のエピソードが書かれています。

まったく自信をなくしてしまっている部下が、自分はラッキーで「ついている」という言葉をくりかえす出す習慣を取り入れたことにより、見違えるように自信と周りの信頼を得たエピソードが書かれています。

それ以外にも心揺さぶるエピソードが書かれているので、一度読まれていいように思います。

とてもよい話だと思い、その後毎朝家を出る時に「今日はついている」という言葉を口にだすように心がけています。一応今でもその習慣は続けています。

本当についているのかどうかはわかりません。しかし「ついてない」とは思わないようにはなりました。トラブルがあっても嘆き悲しむことは少なくなり、心の安定にはつながっているような気もしています。

自分の考え方の習慣でもあるのでしょう。

そして病気になった時の言葉の使い方も大切なのだと感じています。

悲観的な言葉を多く使うと、その言葉が自分に跳ね返り病状が悪化してしまう可能性もあるのかもしれません。

癌になっても完治される方は、前向きな言葉と言動をされる方が多いという報告もあります。

もちろん病気になれば、体もしんどいですし、心の不安も多くなるため悲観的な言葉が出てしまうのはしかたがないことです。

しかしその中でも、できるだけ前向きで感謝し励ましあえるような言葉をかけあう診療でありたいものです。

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