院長コラム
Column

熱中症

2018年07月21日

大雨の後の熱波で本当に暑い日がつづいています。セミもよく鳴き、本当に夏を感じます。

大阪では昔はアブラゼミがよく鳴いていたように思うのですが、最近ではクマゼミです。クマゼミは他のセミより体が大きく水分を体内に維持することができるため、より高温でも脱水から身を守ることができるからだそうです。

少し考えてみると、確かに暑い地域のほうが虫は大きくなっているような気もします。どんどん温暖化が進んでいる一つの証拠かもしれませんね。

人も暑い日には極端な温度の変動により体の変調が起きやすくなるため注意が必要です。

この暑い中、多くの人がボランティアで災害後の復旧への手伝いをされているので、あらためて敬意を表します。そして今のような暑い中での肉体作業では、特に熱中症には注意です。

過度の高温により、体温の調節能力が破綻をきたしてしまうのが熱中症です。重症の場合は精神的な異常をきたし、命にも別状をおこしてしまいますので、適切な予防と治療が大切です。

インドなどの暑い国では毎年何百人もの方が熱中症により命をおとしています。高温時にはまずは家の外での作業を軽減すること、直射日光をさける必要があります。

体温の調節能力の破綻というと少しわかりにくいのですが、循環器的な視点としては、高温による過度の発汗に伴い血管内の脱水がおきてしまうことです。血液は全身に循環し、体温・水分・代謝などの調節において中心的な役割を果たしています。

汗により多量の塩分(Na)が体外に放出されると、血管内の水分が極端にすくなくなります。血管内に水分が適切に維持されるのはNaによる浸透圧の調節によるからです。

そのため、汗をよくかくときには水分とともに塩分も補充することがとても大切なのです。

血液中のNaの濃度は神経の活動とも密接です。Naの濃度が低くなりすぎても、高くなりすぎても脳神経の傷害による精神的な変調をきたします。Naは細胞の情報伝達や細胞内の水分バランスにも大切な役割を示しているからです。

熱中症の治療としては、適切にNaの濃度と水分を補正し体温をもどすことです。しかし、あまり知られていないことかもしれませんが、Naの濃度を低い状態から高い状態に急に補正すると脳神経に脱髄変性をおこし、恒久的な神経障害を残してしまうので、注意が必要です。そのためNaはゆっくりと補正が原則です。

特に子供さんや老人の方などの体の小さい方は水分が喪失しやすくなるので注意が必要です。

一方太った方も水分保持という点では有利かもしれませんが、脂肪のため熱が発散されにくいので注意が必要でしょう。

また、心不全などの循環器の患者さんではもとより塩分や水分制限をうけていますので、その喪失については注意が必要です。

循環器病の患者さんでは、暑いところでの作業は控えて無理をしすぎないということが原則ですが、汗をかきすぎたと思われる時には適宜塩分と水分を補充しておくことも大切です。

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