院長コラム
Column

夫源病

2018年10月05日

「夫源病」とは夫が原因で妻の心と体にさまざまの不調をきたす病気のことです。関西のお茶の間では上沼恵美子さんが、「夫源病」を笑いのネタにしていますが、本人にとっては笑いごとではなさそうです。

夫の何気ない言動に対する不満、あるいは夫の存在そのものが強いストレスとなって、自律神経やホルモンのバランスの崩れが原因とされています。中高年の方に多く発症し、更年期障害とも密接です。

夫が妻の行動を過度に干渉したり、感謝の気持ちがすくなかったりという家庭内でのパワハラ言動も関係していそうです。逆に妻が強い場合は妻源病というパターンもあるのだと思います。

我慢強い、几帳面で生真面目、くよくよしやすいなどの性格の人は要注意です。元気をなくしてうつ状態になっていることもあります。

「夫源病」は石蔵文信先生が命名された病気です。数多くの男性更年期や「夫源病」に関する書籍を出版され、たけしやダウンタウンが司会される健康番組をはじめ多くのマスコミや雑誌に出演し、活躍されています。

私自身も男性の更年期障害外来をしていますので、先生が言われていることはとても勉強になります。そして不整脈もストレスやホルモン・自律神経の乱れと密接です。

実は石蔵先生は私の高校、大学の大先輩であり、卒業後も大阪大学の同じ医局に所属し、同じ病院でも一緒に働いた時期もあるお世話になった先生です。

以前拝見したテレビでは心療内科医の肩書でしたが、もとは心臓病で世界的に有名な米国のメイヨクリニックにも留学されたバリバリの心臓・循環器内科医です。

たくさんのコラムや書籍などで自らのプライベートについても一部公表されているようですので、私だけ?が知る先生の一面を紹介します。

私の石蔵先生の印象は少しアバウトな愉快な自由人で、いわゆる元クレージーキャッツの植木等さんのようなイメージの人です。

府立高津高校の出身の人はなぜか少し風変りで不思議な人が多いのですが、石蔵先生(私も?)もその一人です。「自由と創造」の校風で規制なく好き勝手にやっていたからもしれません。

最初の出会いは大学(三重)卒業後に大阪に戻ってくるかどうか迷っていた時期でした。

今では、医師はいろいろな科をローテーションした後で、自分の専門を決定するのですが、当時は、卒業後に直接医局や病院に直接応募しました。いわば全く内情を知らない企業に就職するようなものでしらないことだらけで結構な不安もありました。

そのため大阪在住の何人かの先輩に相談をしました。

よほど私が不真面目で頭が弱そうにみえるのか、お前は絶対にメジャー(内科と外科)では通用しないとまでいわれる先生もいました。

循環器内科として話をいただけた石蔵先生からのコメントは「おれでもやっていけているからお前でも大丈夫ちゃうか。」でした。少しいい加減なような気もしましたが、弱気なっていた私をなぜか安心させてくれました。

東京の有名私大にも在籍されていたことがあるとのことで、東京でのお嬢様女子大との合コンパーティーの会費は2万もとられたが、三重での合コンの会費は500円で安くていいというのが私の前での持ちネタの一つでした。私自身、その会費の安い学生のパーティーで知り合ったのが今の妻です。

大学医局では循環器ながら男性のあそこのことが気になってしかたがない石蔵という先生がいると先輩がおもしろおかしく教えてくれ、ある意味伝説でした。

真偽は定かではありませんが、夜な夜な患者さんのベッドに忍び込みあそこの血流をはかり、そのデータをまとめて医学博士の学位をとられたとの話でした。なぜかほほえましくなるような話ですが、考えてみればかなりの勇気と行動力です。

男性更年期という言葉がほとんど存在していない時代から循環器の視点からあそこの現象を見つめられてきたのだと思います。特にバイアグラの発売の当初は、特に忙しそうで全国を飛び回っておられました。

同じ病院で働いていた時代には、あそこではなく心臓の血流を心臓超音波検査により測定されていました。

心筋梗塞の患者さんが搬送されるといつも何処からともなく心臓超音波検査の機械とともに現れ、すばやく泡でできた特殊な造影剤や強心剤を駆使して心臓のどの部位が回復するのかなどを迅速に判断されていました。

なぜか中国語を話されるようで、中国の患者さんが来られるとよく呼ばれていました。

その後、教育職である大阪大学医学部保健学科の准教授、女子大の教授に転身されました。

少し前にお孫さんの世話が大変とのことで、女子大の教授を早期退職され、現在は非常勤の招聘教授の立場にてマイペースで活動されています。これからは孫育の時代だそうです。孫育を理由に教授職を早期退職される方は初めてなのだと思います。

最近ではイケメンより育メンというのは聞いたことがありましたが、これからは育ジイが時代の先端なのでしょう。

先日診察室を見学させてもらいましたが、診察室には自転車があり診察しながら発電できないかと考慮中、定年男性を対象とした料理教室を開催するため自宅の隣にGGハウスを建設中とのことでなんだか楽しそうです(https://cooking.gghouse.jp/)。男の料理が夫源病の解決には有効とのことです。

最近では日本原始力発電所協会の代表の立場で発電の話での講演も多いのだとか。

そして奥様や子供さんとの仲もよく、奥様は夫源病とは無関係とのことでした。

あまりまじめすぎないで自由な石蔵先生のような生き方そのものが更年期障害や夫源病を解決する道標なのだと感じます。

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