院長コラム
Column

ホメオスタシス

2020年01月27日

今年の冬は暖かいとおもっていたら、寒くなったりで、気温の変化が大きいですね。気温の変化が大きいと体の体調を崩しやすくなります。

温度や気圧などの急激な環境の変化は体においてかなりの負担をしいますので体のバランスがくずれてしまうからなのでしょう。

ホメオスタシスという生物用語があります。生物の生体反応の根源をなすものであり、治療をする上でも決して忘れてはいけない現象なのだと思います。

ホメオスタシスとは恒常性をあらわす生物英語であり、生体の内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする反応のことです。

生物が誕生し、進化していく過程において、いかに細胞や組織の中の環境を一定に保つかという試行錯誤がくりかえされてきたのでしょう。

例えば、いつも体温が37度程度なのは、体温を恒常的に保つような調節機構が体の中にそなわっているからです。寒くて体温が下がりそうになると、体を震えさせたり、蛋白を誘導したり、血管の収縮性を調節したりしながら熱を発生させたりしながら調節します。

もちろん厳しい外部環境の変化では、内部の調節だけでは限界があるので、外部環境が厳しすぎる場合はそれをある程度はブロックする必要があります。極寒の環境では、家の中に入って暖房をいれたり、温かいオーバーが必要となるようなイメージでしょうか。

変化が大きすぎると命を落とす原因にもなりえます。

そして気温の変化も少しずつならば慣れてきますので、時間がたてばホメオスタシスの平衡状態が変化しうるということなのでしょう。

自律神経、ホルモン、免疫系などにおける調節系がホメオスタシスの代表例としてとりあげられていますが、それ以外の様々な現象についてもこの機構は機能しているのでしょう。

いざ病気のことを考えてみると、病気の状態とは健常なホメオスタシスのバランスが崩れている状態といえるのかもしれません。そして、治療とはその崩れた平衡状態をもとに戻す手法なのだと思います。

例えば高血圧や糖尿病を考えてみます

病気の原因も様々で複雑にからまっていますので、その隠れた原因を紐解いていく必要もあります。

てっとり早い単純な作用の薬は最初の時は効いているように思えても、しばらく服用を続けるとその効果がわかりにくくなる場合も多そうです。

恒常的に血圧や血糖をさげるためにはいくつかの作用を併せ持つ薬の方がより有効そうですし、それと併せて食生活や運動など生活の環境の改善も必要です。

長期的に状態を変えるためには、周りの環境を含め原因となる複数の原因を同時に解決しておく必要があるのでしょう。そして期待しているよりもう少しの時間もかかりそうです。

最初はいいけど、その後は元通りというのは身の回りでも思い当たることがいくつかあるような気もしますね。

おいしい食べ物もずっと食べ続けるとそうでもなくなってきますし、体によいと言われる化粧品やサプリメントの効果もしばらくするとその効果はわかりにくくなってきます。

ダイエットでも一度は成功しても多くの場合はリバウンドをしてしまいます。

さらに恒常性を保ちたいというのは、体の話だけではなく、人の習慣や活動、そして心の悩みなど様々なことにも当てはまりそうです。

歳をとってくるとその傾向は強くなるのかもしれません。急な変革はより身に沁みます。

そして心の問題では、なんとかしたいと思ってもしばらくすると元に戻って悩みは続いて繰り返してしまいがちです。

漠然と理想の状態にありたいと願って目の前の手っ取り早い方法に飛びつくだけでなく、身の回りの環境を含めていくつかの考えられる原因をまとめて変えていくことが必要なのでしょう。

理想の人がいればその生活スタイルや考え方を真似てみてもよさそうですね。

気候の変化のみならずいろいろなことで本当に変化の激しい時代で、身の回りの環境も刻刻と変化しています。現状維持だけでなく必要なことは周りの変化に合わせてゆっくりとでも適応していくことも大切なのでしょう。

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